フイリマサキ 光沢があり、厚く丸みのある葉が密につき、生長が速く、萌芽力があり剪定に耐えるので、生垣用樹としてよく知られた樹木です。葉に入る黄色や白の斑は、外斑や中斑、散斑などいろいろな品種が生産され、地域によってその呼び名も異なることがあり、一般的にはそれらを区別することなく『斑入マサキ』と呼んでいます。代表的なものにキンマサキやギンマサキ、オウゴンマサキがあります。雌雄異株で高垣風に放任すると黄緑色から緑白色の目立たない花をつけ、実は雌木につき、秋に割れて朱赤色の仮種皮に包まれた種子をぶら下げ、野鳥の食餌木としても知られています。
フイリヤブラン 黄色の筋状の斑の入った細長い葉を地際から叢生し、地面を密に被い、株が大きくなると多数の花穂を立ち上げるので、観賞価値も高まり、明るい雰囲気を醸成します。和洋を問わず庭園や建物周りなどの狭い空間から、公園・緑地などの大面積まで、日向から半日陰まで広範囲な場面で利用できるグラウンドカバーとして人気があります。ただし、日陰地では斑の鮮やかさが失われるので、日向から明るい半日陰での利用に向いています。
フウ(タイワンフウ) 葉がカエデの仲間と間違えるほどよく似ているモミジバフウは北米原産ですが、本種はタイワンフウとも呼ばれ中国や台湾原産で、葉は3裂です。落葉高木で、都会でも比較的美しく紅・黄葉します。公園・緑地や工場など広い敷地での緑化や、街路樹などに向いていて、景観樹や緑陰樹、シンボルツリーなどに利用します。なお、樹脂を乾燥したものを薬用に用いることが知られていて、中国では漢方薬に用います。
フジ 長い花房を無数に垂れ下げた姿が、古くから愛されてきました。『万葉集』にはフジを詠んだ歌が27首あります。全国各地に古木や大木があり、観光名所にもなっています。花には白、ピンク、淡紫、紫などの種類があり、甘い香りを放ちます。観賞用として植えられてきましたが、かつてはつるを縄の代用にしたり、籠や椅子などに用いました。
フシグロセンノウ センノウの仲間で、葉のついた節が暗赤色を帯び黒く見えることから名づけられました。本州から九州の山影や樹林下の沢筋などのやや薄暗い日陰地に生え、夏から秋にかけて、朱赤色のやや大きい五弁花を茎の先端とその付近に疎らにつけます。朱赤色というほかの野草にあまり無い色で、薄暗い背景でよく目立ちます。庭園や山野草として鉢植えなどに利用します。
ブッドレア 小さな筒状の花が、穂状にたくさん集まって花開く姿がフジに似ていることから、フサフジウツギの別名があります。花は香りが高く、花の蜜が多いことから蝶を呼ぶ花木として知られ、英名ではバタフライブッシュと呼ばれて、ガーデニングの材料として親しまれています。欧米で人気があり、古くから品種改良がおこなわれて、花色の変化した多くの品種があり、開花期が長く6月ごろから10月ごろまで長く楽しめます。
ブナ 日本の山地(冷温帯)の落葉樹林に自生する樹木で、ミズナラなどとともに主要な構成種の一つです。秋の紅葉は黄褐色で、華やかさはありませんが落ち着いた色で趣があります。厳しい都市環境での利用は困難で、北海道南部以南や東北での利用に向いています。実は小さく、クリに似た3稜形で、渋みが無いので炒って食べられます。
フユグミ ナワシログミとマルバグミ(オオバグミ)の自然交雑種といわれています。自然交雑種のため個体数が少なく、見ることはもとより、生産もされていない可能性が高いので、利用は困難です。形質にばらつきが見られることが予想され、両者の中間的な形質を示すということ以外に情報が無いので詳細は不明です。
フヨウ 九州や沖縄などの暖地の海岸近くなどに自生するハイビスカスの仲間です。高さは1.5〜3mほどになり、夏の間、大輪の花を咲かせつづけ、人気があります。観賞用に古くから栽培され、日本以外でも中国や韓国の詩歌や絵画に多く登場します。また、茎の皮が丈夫なため、製紙に用いられたり、漁網やかごなどにも使われました。近年ではさらに花が大きく、花色の多いアメリカフヨウなども植えられるようになっています。
ブラシノキ オーストラリア原産で、明治の中頃に渡来しました。最大の特徴はボトルブラシのような花で、名前の由来にもなっています。観賞用として栽培され、さまざまな園芸品種があります。果実は1cmほどの球形で、中に細かな種子が詰まっています。果実は脱落せずに何年も残ります。原産地のオーストラリアでは、山火事などのさいに飛び散ると言われています。