モチノキ 厚みのある濃緑色の葉が密につくことから、関東では古くは高生垣として家の周囲を囲むように、また、庭園の主木として玉散らしなどの仕立物に利用してきました。葉と秋に赤く熟す実とのコントラストも見どころですが、雌雄異株なので実を楽しむには雌木を植える必要があります。
モッコク 古来、『江戸五木』、『三大庭木』に選ばれるほど人気のある庭園樹で、『庭木の王様』とも呼ばれるほど評価の高い常緑の小高木です。古くから知られ、親しまれてきました。一番の見どころは、端正で風格のある樹形で、小さ目の葉は光沢があり、初夏の花、秋の実など、常緑樹でありながら四季折々に趣があり、マツやマキなどとともに日本庭園の主木の位置を占めてきました。近年は生活様式の変化とともに、植栽される機会は減っていますが、その価値は変わりません。庭園や公園などに使われています。
モミジガサ 北海道の西南部から九州の山地の山影や樹林下の沢筋などに生える落葉多年草です。葉の形がモミジの葉に似ていて葉を開く前の形が傘をすぼめたような形をしていることから名づけられました。山菜としてよく知られ『シドケ』あるいは『シトギ』などと呼ばれ、若い芽を生食するほか、お浸しやあえ物、汁の実など強い香りや苦みを楽しみます。
ヤグルマソウ 根元から叢生する大型の葉が、鯉のぼりの竿につける矢車の形に似ていることから名づけられました。北海道から本州の山地に自生する落葉の宿根草です。大形の葉姿を愛でて、雑木植栽の林床やロックガーデンなどのアクセント植栽や個性的な修景植栽、群植などに用いると効果的です。
ヤブコウジ 常緑広葉樹林などの林床に生える樹高10㎝程度の常緑の樹木です。照りのある小さめな葉や、秋から冬にかけてルビーのように赤く光り輝く小さな実を、葉腋から垂れ下げた姿が魅力です。日本庭園の根締めとして古くから親しまれ、石組みや常緑樹の樹冠下の地被などに利用してきました。最近は、地下茎で広がり、地面を密に被う特性を活かし、高層ビル周りの半日陰や日陰のグラウンドカバープランツとしての利用も増えています。
ヤブニッケイ シイやタブノキなどの常緑広葉樹林の構成種の一つです。クスノキの仲間で葉は光沢があり明るく丸みがありあす。クスノキのように公共緑化や庭園などに利用することはあまりありませんが、枝葉をはじめ樹皮や材にも独特なニッケイの香りがあり、種子から香油を、葉や樹皮は薬用に利用します。
ヤブラン 古くから庭園の下草や景石の根じめなどによく用いられてきた常緑の地被植物ですが、近年は公園や緑地などで大面積の利用も多くなっています。7月から10月にかけて花穂を抽出し、淡紫色の小花を密につけ、華やかさはありませんが野生らしい趣があります。
ヤマアジサイ 小形のガク咲きのアジサイで、野生種は山地の林床や谷間などの沢筋に多く見られることから、沢アジサイの別名があります。ガクアジサイに比べ花や樹形は全体に小形ですが、ガクアジサイには無い多様な花色や花型が見どころで、日本人好みの侘び寂びを感じさせます。近年は多様な品種が作出され、生産されていることから、庭植えばかりでなく鉢植えとしても人気があります。
ヤマウコギ(ウコギ) 丘陵から山地にかけての雑木林の林内や原野などに生え、葉は5枚の小葉がついた掌状(手のひらの形)の複葉で、枝には鋭い刺があります。雌雄異株で雌木には夏から秋にかけて黒紫色の実が熟します。飢饉のときの救荒植物の一つとして知られ、かつては若い葉をお浸しやウコギ飯にして食べました。
ヤマザクラ 春の山野を彩りる樹木の一つとして知られ、雑木植栽の彩りには欠かせません。花は白からピンクまで個体により濃淡が様々で、花と同時に開く新葉も、黄色味がかった緑から緑色、樺色、紅紫色まで変化があり、花と新葉の多様な組み合わせが日本の春の情景を演出します。