
「」から始まる植物


マンサク
名前はまず咲く(一番最初に咲く)の意味からともいわれ、雑木植栽などに混植し、冬枯れの中に花咲く、春一番の野性味のある姿を観賞します。花は小さく華やかさに欠けますが、身近で見ると4本の細長い黄色の花弁がよじれるように開き、まるで細工物を見るようで自然の造形美に感動します。
マンリョウ
晩秋から冬の間、6〜8mmの赤い実を長く保つのが一番の特徴です。名前の万両(まんりょう)は、千両(センリョウ科)より実が美しいからついたとされます。実は野鳥の餌になります。夏には枝先に白い小花をつけ、葉は光沢が濃緑色です。縁起木として、正月の飾りなどに用いられ、江戸時代には園芸植物として流行しました。明治時代の『硃砂根銘鑑』には53品種が掲載されています。また、白い実をつけるシロミノマンリョウ(Ardisia crenata Sims f. leucocarpa)もあります。
ミズキ
丘陵から山地にかけての雑木林などのやや湿った林内に多く見られる落葉樹で、枝は仮軸分岐で横に広がって伸び、独特な姿で美しく、外国ではパラソルツリーと呼ばれ、緑陰樹として使います。花は5~6月ごろで、細く白い4弁の花を密につけ、平たい花穂となり、遠くからでもよく目立ちます。実は紫黒色に熟し、鳥に食べられて分布を広げる代表的な鳥散布植物の一つです。材は白く美しいのでこけしやこまの材料となり、枝は小正月のどんど焼きの時に団子を刺して焼くのに使います。名前は早春に幹に傷をつけると、樹液が水のように流れ出るようすから『水木』と名づけられました。
ミズナラ
標高の高い山地帯に発達するブナ林の主要構成樹種の一つで、野性味のある樹形が魅力です。北関東以北の冷涼地や寒冷地での利用に適し、温暖地では夏の高温乾燥で生育は衰えます。葉はコナラに比べると大きく鋸歯も粗く目立ちます。秋には比較的美しく黄・紅葉します。材は木目が美しいので高級家具材として、また薪炭材としても利用します。ドングリ(堅果)は2~3cmほどの長楕円形で、その年の秋に成熟します。
ミズヒキ
花穂についている花や実を上から見ると赤色に、下から見ると白色に見えることから、お祝い事に使われる紅白の水引に例えて名づけられました。全国の低山や谷戸などのやや湿った半日陰などに普通に見られる多年草です。庭園や流れ沿いなどの利用に向いていて、花材としても利用します。
ミツデカエデ
日本固有のカエデで、栽培されることの少ないカエデです。葉柄の先に3枚の葉がついた(3出複葉)カエデとは思えない独特な葉形が特徴です。芽出しが赤味を帯びることが多く、秋には紅や黄色の混じった紅葉となります。自然では高さ20mほどになることもあります。雌雄異株です。
ミツバウツギ
丘陵から山地にかけての雑木林の沢沿いのやや湿った林内や林縁、藪などに多く見られる株立ち状の低木で、3mほどになります。花は初夏のころに枝先に白い小さな花を10花前後つけた短い花穂を伸ばします。名前は『三葉空木』で、3枚の葉をつけた3出複葉で、花がウツギの花に似ているから、あるいは、枝に穴が開いてい中空なことから空木(ウツギ)と呼ばれることなどから名づけられたといわれています。若い葉は食べられます。
ミツバツツジ
関東から近畿地方東部の太平洋側に分布する落葉性のツツジで、枝の先端に3枚の葉が輪生するようすから、『三つ葉のツツジ』の意味で名づけられました。花は紅紫色で本種のみ雄しべが5本という特徴があり、ほかのミツバツツジ類は雄しべが10本なので、容易に見分けられます。丘陵や山地のアカマツ林や雑木林などの林床に自生していて、芽出しの始まった淡い緑の景観に、紅紫色の絵の具を落としたような何とも言えない、明るい春の情景を演出します。雑木植栽のほか庭園、公園や緑地などの彩りとしてもよく使います。