サクラ ‘陽光’ ソメイヨシノより半月ほど早く開花するサクラで、花つきがよく、一重の大輪で、直径4.5cmほどもある紅色の花はよく目立ち、豪華で華やかな雰囲気から『陽光』と名づけられました。愛媛県の高岡正明氏がアマギヨシノとカンヒザクラとを交配して作出したもので、樹形は広卵形で端正な美しい樹形です。 (参考資料:新日本の桜 山と渓谷社)
サクラ ‘横浜緋桜’ 横浜市の白井勲氏がケンロクエンクマガイとカンヒザクラとの組み合わせで交配を行い、その実生から選抜されたもので、横浜市で作出されたことから地名を冠し名づけられました。ソメイヨシノよりやや早く咲きます。薄いピンクの花が多いサクラの中にあって、濃い紅紫色の花はよく目立ち、華やかでとても魅力的です。花は一重咲きの中輪で、直径は3cm程度です。時に旗弁が混じる特徴があります。樹形は広卵型でやや横広がりで、美しい樹形です。 (参考資料:新日本の桜 山と渓谷社)
サクラ‘雨情枝垂’ エドヒガンの枝垂性の栽培品種の一つで、童謡の作詞家として知られた野口雨情の邸宅に植えられていたことから名づけられました。花は八重咲きで直径は3cmほどで、この仲間では一番大きく、平に開き、雌しべがつき出した独特な花型が特徴です。色は淡紅紫色で蕾は色濃く、開花すると外側が濃く、内側はごく薄い花は気品があってとても美しく、華やかで観賞価値が高いサクラです。亜高木に位置づけられることもあり、やや小型のサクラなので、身近に植えて華やかな春を楽しみたい種類です。(参考資料:新日本の桜 山と渓谷社)
サクラ‘アーコレード’ イギリスで育成された品種で、オオヤマザクラとコヒガンザクラとの交配によって生まれました。イギリスでは春の一期咲きとされていますが、わが国では秋の9~11月にも咲く二期咲きとなっています。同じ開花特性を持つ十月桜に比べ、花は淡紅色で色が濃く、八重咲き大輪で花つきがよく、非常に美しいので、桜の花を長く楽しむためには打ってつけで、今後の利用が期待される品種の一つです。 (参考資料:『桜図鑑』公財日本花の会)
サクラ‘ウミネコ’ マメザクラとオオシマザクラの交雑種で、花は白色で大輪の一重咲きです。樹形はあまり横に広がらないのが特徴です。サクラの権威として知られるイギリス人のコリングウッド・イングラム氏が作出した品種で、ヨーロッパでは広く植えられている品種です。
サクラ‘熊谷桜’ キンキマメザクラが重弁化し、雌しべが2つになった品種です。「怡顔斎桜品」(1758)に記載があることから、かなり古い品種とされますが、生成の由来などはよくわかっていません。花は淡紅紫色で1.5〜1.8cmほどで、下向きに咲きます。ちなみに、コヒガンザクラの品種に‘熊谷’がありますが、別品種です。どちらもほかのサクラに先駆けて咲くことから、一ノ谷の合戦で先駆けをした熊谷直実にちなむとされます。
サクラ‘兼六園菊桜’ 金沢市の兼六園にあった桜で、原木は国の天然記念物でしたが1970年に枯死しました。現在見られる樹は、その樹から接ぎ木で増やした個体で、園内に植えられていますが、一般にも流通しています。花は葉が展開した後に開き、淡紅色の2段咲きで、花の中心部は色が濃く紅色になります。花弁の数が100~300枚の千重咲きです。慶応年間(1865~1868)に孝明天皇から前田家に下賜されたいわれ、そのため御所桜の名前もあります。
サクラ‘御殿場桜’ 静岡県の御殿場市永塚や印野で稀に栽培されていることからこの名前がつきました。御殿場農園の渡辺健治氏が発見し、流通するようになりました。マメザクラとほかのサクラ(種類は不明)との間に生まれた交雑種で、花は一重咲きの大輪で蕾は色が濃く、開花すると淡紅色となります。マメザクラの特性を受け継ぎ、小形で花つきが良く、挿し木で容易に増やせるので、庭園や建物周りの外構、ガーデニングなどのほか、盆栽や鉢植えとしても利用します。 (参考資料:『桜図鑑』公財日本花の会)
サクラ‘小松乙女’ 上野公園内の小松宮彰仁親王銅像の近くに原木があり、名前の由来となりました。中輪で淡紅色のかわいらしい花を咲かせます。一時、ソメイヨシノの片親ではないかという説がありましたが、現在では否定されています。
サクラ‘枝垂富士桜’ 一重や八重の花が混じって咲く枝垂性のサクラです。富士桜の名前がついていますが、富士桜(マメザクラの別名)の品種ではなく、エドヒガンまたはシダレザクラとマメザクラ系のサクラとの間に生まれた交雑種と推定されています。花は白花の中輪で枝は緩く垂れ、独特の樹形となります。 (参考資料:『桜図鑑』公財日本花の会)