クロウメモドキ 日本各地の山地に自生する落葉低木です。果実は秋に黒く熟し、その姿がウメモドキに似ているのが名前の由来です。枝の分岐点には鋭いトゲがあり、トリトマラズなどとも呼ばれます。果実を一年以上乾燥させたものを鼠李子(そりし)といい、緩下剤や利尿剤に用いられます。材は堅く割れにくいので、小器具や木工細工に。樹皮は染料に用いられたといわれます。
クロガネモチ 5~6月に咲く花は小さく目立ちませんが、秋には雌木に鮮やかな小さな赤い実が樹冠を被うほどつき、その姿は美しくよく目立ち、冬の間中、楽しむことができます。旧家などでは太く立派な樹が植えられていますが、最近はガーデニング向けに、雌木を接木した小型の株が生産されており、人気があります。
クロマツ 細く針のような葉は堅く、先は尖っていて、触れると痛い特徴のある松で、耐潮性に極めて優れ、日本の海岸線を彩る代表的な針葉樹です。幹の色が黒みを帯びていることから黒松と呼ばれています。アカマツと共に、日本庭園や和風庭園の主木として欠かせない樹木の一つで、盆栽などにも多く用います。一般には幹に緩く曲がりをつけて仕立てることが多く、力強い中にも優美な姿が持ち味で、男性的な剛直な姿からオマツ(雄松)、オトコマツ(男松)などと呼ばれます。
クロモジ 雑木林の構成種のひとつです。雌雄異株で、頂芽の下に10花前後の黄緑色の小さい花を包んだ花序を2個つけ、葉の展開とほぼ同時に開花します。秋には黒い小さな実が熟し、葉は鮮やかに黄葉します。材は香りを愛でて高級な楊枝に、枝は垣根(クロモジ垣)の材料に用います。樹皮に黒い斑紋がでて、文字のように見えることからこの名前があります。
クワ 5~6月ごろに熟す黒紫色の甘い実が魅力で、生食のほかジャムやジュース、果実酒などに利用します。本来は葉を蚕の餌として栽培してきましたが、養蚕業の衰退とともに見かけなくなりました。近年は実を楽しむためにマルベリーの名前で、果実の大きな品種を家庭果樹として利用しています。薬用植物としても知られ、葉はお茶にも利用します。
ゲッケイジュ 雌雄異株で、雌木にはオリーブのような黒紫色の実がつきますが、日本では雄木が多いのであまり見ることはできません。緑葉の基本種のほかに、斑入や芽出しから新葉が黄色の品種(‘オーレア’)が流通しています。ハーブとして有名で、乾燥させた葉をシチューやカレー、肉料理などの香りづけに利用します。
ケヤキ 本州、四国、九州の山野や山裾などの肥沃な場所に生え、日本で最も大きくなる樹の一つとして知られ、高さは30mに達する場合もあることから、『ケヤケキ木(顕著な木)』の意味で名づけられたのではないかといわれています。幹は直立し、箒を逆さにしたような姿が特徴で、新緑と紅葉が繊細で美しく、街路樹や公園の緑陰樹、景観樹、シンボルツリーなどによく利用します。材は耐久性に優れ、狂いが少なく、木目も美しいことから、日本で最良の広葉樹材として知られています。
ケンポナシ 山野に自生する落葉高木で、高さは15mほどになります。初夏に深緑色の花をつけ、その後に実が熟します。実が熟すと同時に、果柄がふくらみ、ナシのように甘くなります。ハクビシンやタヌキなどにも好んで食され、種子の分布範囲を広げます。果柄部を乾燥させたものを煎じて飲むと二日酔いに効くといわれます。材は床材、お盆、文房具などに用いられました。
ゴールデンセージ セージ(ヤクヨウサルビア)の園芸種で、葉に黄色の斑が入る美しい品種で、花壇の花苗としても利用できます。利用は基本種のセージ同様で、香辛料として料理に使うほか、薬用、香料、ポプリ、クラフトなどに利用します。利用にあたっては開花が始まるころに、葉または茎の上部から切り取って収穫します。
コウヤボウキ キク科では珍しい樹木性の植物で、樹高は1m程度になります。名前は昔、高野山では竹を植えることが禁じられていたことから、この枝を使ってほうきをつくったことから名づけられました。また、京都の伏見では、酒桶の濁りの泡をふきとるのに使います。花は秋に咲き、細く小さな筒状花が10数個集まった頭花を枝先につけます。