
「シ」から始まる植物


シモクレン
一番の観賞ポイントは葉に先立って開く濃紅紫色の大きな花で、樹冠を被うようにたくさんついた姿は、春の盛りを演出します。低木性のモクレンの仲間で、小形であまり大きくなりません。美しい花を愛でて、公園・緑地や集合住宅地、個人庭などに使われることが多く、春の彩りとして欠かせません。花弁が細く花色のやや淡いトウモクレン、花弁が広く花色の濃いカラスモクレンなどの品種がモクレンとして流通しています。シモツケ
基本種はピンクですが、紅色や白など個体によって多少変化します。花は小花の集まった集合花がたくさんついて樹冠を被い、夏にかけて2番花、3番花と咲き継ぐので、花つきは多少悪くなりますが長く楽しめます。滝や流れ、池護岸など水辺の岩組、庭園や公園・緑地など和洋を問わず広く利用します。近年は海外から様々な新しい品種が導入され、華やかになってきました。シモツケ‘ホワイトゴールド’
春から初夏の低木性の花木としてよく知られたシモツケの園芸品種の一つです。芽出しから明るいライムゴールドの葉が魅力的な園芸品種で、白い花との組み合わせが見事です。観賞期間の長いカラーリーフプランツとしてばかりでなく、初夏の花低木としても評価が高く、ガーデニングや公園・緑地・建物周りなど利用範囲が広がっています。
シャガ
常緑性の多年草で日陰の地被として優れています。淡い紫色の花が特徴的ですが、花のない時期も光沢のある細長い葉は地際を彩ります。花は一日花ですが次々と花を咲かせます。生育は旺盛でランナーを出して増えていきます。夏の乾燥や直射光、冬の乾寒風で葉が傷むので上場所には注意が必要です。古くに中国より渡来し日本全国に広がりました。
シャクナゲ
欧米でヒマラヤや中国などの野生シャクナゲを基に育成されたセイヨウシャクナゲに対し、日本に自生する野生種を基に育成された園芸シャクナゲの総称です。花はピンクや白花が多く華やかさの面ではやや劣りますが、端正な花型や花穂が美しく環境耐性があるので、野生種がうまく育たない暖地などで利用すると効果的です。
シャクヤク
中国北部原産で、日本には古く平安時代に渡来しました。初夏に15cmほどの大きく美しい花を咲かせます。さまざまな園芸品種が作出され、色や形、咲き方もさまざまです。花の美しさは、美人を例える「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」という文句に用いられたほどです。また、当初は薬用植物として栽培されており、漢方では根を乾燥させたものを他の生薬と配合して、胃痙攣、胆石痛の鎮痛剤や冷え症などの婦人病に用いました。ヨーロッパでも古来から薬草として知られ、プリニウスの『博物誌』にも記述があります。
シャシャンボ
常緑の小型の中木で、一見アセビのような樹姿で、放任するとこんもりと茂ります。秋に熟す実は黒紫色で、アントシアニンの含有量はブルーベリーよりも多く、生食もできますがやや硬く、どちらかというと果実酒向きです。小さな実が鈴なりになった姿を『小さい坊や』に例え、『小小ん坊』と呼んだものが転訛して名前になったといわれています。
シャリンバイ
暖地の海岸に自生し耐潮性や耐乾性が強く、厳しい都市環境にあっても良好に生育することから、公園・緑地や和風庭園などの刈り込みによく用います。春に白い小花がやや細長い花穂に集まって咲き、芳香があります。花がウメの花に似ていて枝が輪生し、車輪に似ていることから名前がついたといわれています。立性の本種のほか、樹高のあまり高くならない這性のマルバシャリンバイ、ピンク色の花が美しいベニバナシャリンバイ(複数の品種あり)などが知られています。